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夕張・細川一寒子
子の夢をつぎ足してやる貯金箱
弘前・宮本紗光
駅からの夫婦に夜風あたたかい
神奈川県二宮・箱守五柳
百歳の先は役所で日を数え
東京・石川真砂
酒落一つ解り世間が見えてくる
石狩・福島嚴柳
ねンぶたコサ来いじゃはるばる甲高く
熊本・田口麦彦
いまにして恩賜のたばこ貧しすぎ
『気がつけば川柳』二二〇〇円(送料三一〇円)
申込み塩見一釜一札幌市白石区平和通6南6)

 

無視できない川柳愛好者の声

竹本瓢太郎
「サラリーマン川柳」の勢いは当分続きそうである。どこの書店を覗いても、単行本にした「サラ川」が趣味のコーナーに置いてある。それは、言うまでもなく売れるからだ。川柳界であんなもの「川柳」でないと言って抗議しても、着実に「サラ川」の愛好者は増えている。
何故ブームになったのだろう。一口に言えば理屈抜きに面白いからだ。作っていても読んでいても肩が凝らない。
私は十数年前に「毎日新聞・多摩版」の選者を依頼されてから八王子支局で「毎日多摩川柳教室」を開き、現在多摩地区の四か所で川柳教室をもっているので、それらの教室に集まる人たちのなかには、毎日新聞の「中畑流川柳」に投句している人もいる。また、中畑流川柳から脱皮して本当の川柳を学ぼうという気持で参加している人もいる。
彼らの作る川柳は新鮮で面白い。難を一言えば十七音字で詠まれていない句が多いことと、意図的に滑稽に作ることである。しかし、どの句も理解できるし、破調なりのリズムは整っている。サラ川の人たちは、川柳は庶民弱者の息抜き遊びの文芸と考え、批判精神を念頭において川柳を詠んでいる。だからこそ、大衆の心を掴み、若い人たちにも受けているのであろう。
彼らは口を揃えて「専門川柳誌にも、それぞれの主張があるではないか。革新を訴える結社、伝統を継承している結社でいいたいことを言っているし、一般人が詠んでも皆目わからない句、お年寄りのお遊び程度の句を満載してい

 

 

 

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